積分中のテイラー展開

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具体例(レベル2)

近似の精度(レベル2)

積分中のテイラー展開

積分範囲が十分小さい時、被積分関数をテイラー展開すると近似的に積分が実行できる。

物理では、微小な積分を考えることが多々ありますが、このテクニックを使うと 簡単に積分が実行できます。

具体例(レベル2)

微小な積分の計算その1

\(\Delta x\)が十分小さい時、積分は以下のように展開できる。 \begin{eqnarray} & \ &\int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') \nonumber \\ \label{Taylorapp1} &=&f(x)\Delta x+\frac{1}{2}f'(x)\Delta x^2 +O(\Delta x^3) \end{eqnarray}

\(O(\Delta x^2)\)も無視できる近似だと、いわゆる被積分関数を外に出す近似に相当します。 また、上記の例では、積分変数を\(x'\)と置いて強調していますが、以下、その流儀にのっとって説明していきます。

証明

まずは\(x'=x+\delta x\)で与えられる新たな積分変数\(\delta x\)を導入し、置換積分する。 ここに、\(0 < \delta x <\Delta x\)である。 \begin{eqnarray} \int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') =\int_{0}^{\Delta x} d (\delta x) f(x+\delta x) \end{eqnarray} ここで、\(\Delta x\)が微小とすると、\(f(x+\delta x)\)はテイラー展開可能で、 \begin{eqnarray} f(x+\delta x)=f(x)+f'(x) \delta x+O(\delta x^2) \end{eqnarray} になる。

あとはこれを積分する。\(f(x)\)や\(f'(x)\)は\(\delta x\)に依らないことに注意すれば、 \begin{eqnarray} & \ &\int_{0}^{\Delta x} d (\delta x) \left( f(x)+f'(x) \delta x+O(\delta x^2) \right) \nonumber \\ &=&f(x)\Delta x+\frac{1}{2}f'(x)\Delta x^2 +O(\Delta x^3) \end{eqnarray} より、導出できた。

ちなみに、テイラー展開になれている人は置換積分を使わなくても、 \begin{eqnarray} & \ &f(x')=f(x+(x'-x)) \nonumber \\ &=&f(x)+f'(x) (x'-x)+O((x'-x)^2) \end{eqnarray} のように展開し、計算できます。

微小な積分の計算その2

\(\Delta x\)が十分小さい時、積分は以下のように展開できる。 \begin{eqnarray} & \ &\int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') \nonumber \\ \label{Taylorapp2} &=&f(x+\frac{\Delta x}{2})\Delta x +O(\Delta x^3) \end{eqnarray}

同じ積分ですが、展開する場所を変えると結果に差がでます。二行目の\(f(x+\frac{\Delta x}{2})\)を \(x\)の周りで展開すると(\ref{Taylorapp1})式に戻ります。

証明

(\ref{Taylorapp1})式と同じやり方で証明します。細かな違いに注意してください。

\(x'=x+\frac{\Delta x}{2}+\delta x\)で与えられる新たな積分変数\(\delta x\)を導入し、置換積分する。 ここに、\(-\frac{\Delta x}{2} < \delta x <\frac{\Delta x}{2} \)である。 \begin{eqnarray} \int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') =\int_{-\frac{\Delta x}{2}}^{\frac{\Delta x}{2}} d (\delta x) f(x+\frac{\Delta x}{2}+\delta x) \end{eqnarray} ここで、\(\Delta x\)が微小とすると、\(f(x+\frac{\Delta x}{2}+\delta x)\)は \(x+\frac{\Delta x}{2}\)の周りでテイラー展開可能で、 \begin{eqnarray} f(x+\frac{\Delta x}{2}+\delta x)=f(x+\frac{\Delta x}{2})+f'(x+\frac{\Delta x}{2}) \delta x+O(\delta x^2) \end{eqnarray} になる。

あとはこれを積分する。\(\delta x\)の一次は奇関数なので積分すると消えることに注意。 \begin{eqnarray} & \ &\int_{-\frac{\Delta x}{2}}^{\frac{\Delta x}{2}} d (\delta x) \left( f(x+\frac{\Delta x}{2})+f'(x+\frac{\Delta x}{2}) \delta x+O(\delta x^2) \right) \nonumber \\ &=&f(x+\frac{\Delta x}{2})\Delta x+O(\Delta x^3) \end{eqnarray} より、導出できた。

近似の精度(レベル2)

近似の精度

微小な積分範囲の積分について \begin{equation} \int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') \simeq f(x)\Delta x \end{equation} と表すより、 \begin{equation} \int_{x}^{x+\Delta x} dx' f(x') \simeq f(x+\frac{\Delta x}{2})\Delta x \end{equation} の方が近似として精度が高い。

近似の精度とは、\(\Delta x\)の何次の項まで無視せず表せているかということです。 高次の項まで表せている方が、精度が高いです。

(\ref{Taylorapp1})式より、上の近似は\(\Delta x^2\)を無視する近似ですが、 (\ref{Taylorapp2})式より、下の近似は\(\Delta x^3\)を無視する近似なので、より精度よく近似が できています。