自由落下の運動方程式は以下の通り \begin{equation} \label{EOM} m\frac{d^2 x(t)}{dt^2}=-mg \end{equation}
最も基本的な運動方程式です。高校の時は、公式で解を暗記していたと思いますが 大学ではこの微分方程式を解くことによって、運動の軌跡を導きます。
ちなみに、大学では\(\frac{d x}{dt}\)のことを\(\dot{x}\)とも表しますが、この記法を使うと (\ref{EOM})は \begin{equation} m\ddot{x}(t)=-mg \end{equation} のようにすっきりと表せます。
自由落下の運動方程式 \begin{equation} m\frac{d^2 x(t)}{dt^2}=-mg \tag{\ref{EOM}} \end{equation} の一般解は \begin{equation} \label{generalsolution} x(t)=-\frac{1}{2}g t^2+C_{0}t+C_{1} \end{equation} である。
運動方程式と解いた結果をまとめてみました。一般解とは何かについては後で説明するので まずはどうやって微分方程式を解いていくのか見ていきましょう。
まずは、(\ref{EOM})式の両辺を\(m\)で割った後、積分を行う。 \begin{equation} \int dt \frac{d^2 x(t)}{dt^2}=-\int dt \ g \end{equation} \(dt \frac{d^2 x(t)}{dt^2}=d (\frac{d x(t)}{dt}) \)より、 \begin{equation} \frac{d x(t)}{dt}= - gt +C_{0} \end{equation} を得る(ただし\(C_{0}\)は積分定数)
さらにもう一度両辺を積分する。 \begin{equation} \int dt \frac{d x(t)}{dt}= \int dt \ (-gt +C_{0}) \end{equation} これを実行すると、一般解 \begin{equation} x(t)=-\frac{1}{2}g t^2+C_{0}t+C_{1} \tag{\ref{generalsolution}} \end{equation} を得る。(ただし、\(C_{1}\)も積分定数)
一般解を得られたなら、これに初期条件(\(t=0\)の時の状態)を代入することで、物体の運動が予測できます。
例えば、\(x(0)=0\)、\(v(t)=0\)の場合、(\ref{generalsolution})式 において、この条件を満たすのは\(C_{1}=0\)かつ\(C_{0}=0\)の時、即ち \begin{equation} x(t)=-\frac{1}{2}g t^2 \end{equation} が求めるべき解だと分かります。
ほかにも、\(x(0)=x_{0}\)、\(v(0)=v_{0}\)の時は、(\ref{generalsolution})式 とその微分に\(t=0\)を代入することで \begin{equation} x(t)=-\frac{1}{2}g t^2 +v_{0}t+x_{0} \end{equation} と答えが分かります。
ちなみに、与えられる条件が\(t=0\)の位置や速度でなくても \(x(T)=x_{0}\)、\(v(T)=v_{0}\)の場合の解は \begin{eqnarray} x(t)=-\frac{1}{2}g t^2+\{v_{0}+gT \}t \\ +\{-\frac{1}{2}g T^2+x_{0}-v_{0}T\} \end{eqnarray} のように求めることができます。
上に挙げた三例はどれも、特定の条件下でしか成り立たない具体例の解です。 なのでこれらを特殊解とよびます。一方、(\ref{generalsolution})式のように どの初期条件にも対応できる解を一般解とよびます。
3次元の運動方程式 \begin{equation} m\frac{d^2 \bs{x}}{dt^2}(t)=\bs{F} \end{equation} は成分ごとに考えれば解が求められる。
現実の物体の運動は3次元なので、運動方程式も当然3次元になります。 ただし、以下のように成分ごとに考えれば大体上手くいきます。 \begin{eqnarray} \begin{cases} m\frac{d^2}{dt^2}x(t)=F_{x} \\ m\frac{d^2}{dt^2}y(t)=F_{y} \\ m\frac{d^2}{dt^2}z(t)=F_{z} \end{cases} \end{eqnarray}
例えば、\(z\)方向への自由落下なら、 \begin{eqnarray} \begin{cases} m\frac{d^2}{dt^2}x(t)=0 \\ m\frac{d^2}{dt^2}y(t)=0 \\ m\frac{d^2}{dt^2}z(t)=-mg \end{cases} \end{eqnarray} のように成分ごとに分解して解を導くと、 \begin{eqnarray} \boldsymbol{x}(t)=\left( \begin{array}{c} C_{x0}t+C_{x1} \\ C_{y0}t+C_{y1} \\ -\frac{1}{2}g t^2+C_{z0}t+C_{z1} \end{array} \right) \end{eqnarray} のように求めることができます。
ちなみに、与えられた座標系がデカルト座標でない場合、
(例えば極座標とか球面座標とか円柱座標)の時はそう簡単にいかないので注意が必要です。
詳しくは→極座標の運動方程式