ベクトルの微分(デカルト座標)

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具体例(レベル1)

より正確な定義(レベル2)

利点(レベル1)

ベクトルの微分(デカルト座標)

ベクトル\(\bs{x}(t)\)微分「\(\frac{d \bs{x}}{dt}\)」の意味は \begin{eqnarray} \label{Cartesiandiff} \frac{d \bs{x}}{dt}(t)=\left( \begin{array}{c} \frac{d x}{dt}(t) \\ \frac{d y}{dt}(t) \\ \frac{d z}{dt}(t) \end{array} \right) \end{eqnarray} である。(デカルト座標の場合)

物理以外でも頻出なベクトルの微分について基本事項を整理します。

具体例(レベル1)

\begin{eqnarray} \bs{x}(t)=\left( \begin{array}{c} 0 \\ vt \\ -\frac{1}{2}gt^2 \end{array} \right) \end{eqnarray} の時、 \begin{eqnarray} \frac{d \bs{x}}{dt}(t)=\left( \begin{array}{c} 0 \\ v \\ -gt \end{array} \right) \end{eqnarray} で、同様に \begin{eqnarray} \frac{d^2 \bs{x}}{dt^2}(t)=\left( \begin{array}{c} 0 \\ 0 \\ -g \end{array} \right) \end{eqnarray} です。デカルト座標の場合は、成分をただ微分していくだけで大丈夫です。

より正確な定義(レベル2)

ベクトルの微分はより正確には関数の微分と同じように定義されます。

ベクトルの微分

ベクトルの微分は \begin{equation} \frac{d \bs{x}}{dt}(t):=\lim_{\Delta t \to 0} \frac{\bs{x}(t+\Delta t)-\bs{x}(t)}{\Delta t} \end{equation} で定義される。

上記の定義は座標系に依らず成り立ちます。ちなみに極座標の場合、ベクトルの微分は(\ref{Cartesiandiff}) のように綺麗には書けません。

ベクトルの微分を正確に行うには成分表示ではなく、基底展開した形で行う必要があります。 (基底ベクトルの微分が\(0\)とは限らないため。詳しくは→基底ベクトルの微分を参照。)

例えば、ベクトル\(\bs{r}(t)\)が \begin{equation} \bs{r}(t)=r_{1} \bs{e}_{1}+r_{2} \bs{e}_{2}+r_{3} \bs{e}_{3} \end{equation} と展開できる時、これの\(t\)微分\(\dot{\bs{r}}\)は真面目にやると \begin{eqnarray} \dot{\bs{r}}=\dot{r}_{1} \bs{e}_{1}+\dot{r}_{2} \bs{e}_{2}+\dot{r}_{3} \bs{e}_{3} \nonumber \\ +r_{1} \dot{\bs{e}}_{1}+r_{2} \dot{\bs{e}}_{2}+r_{3} \dot{\bs{e}}_{3} \end{eqnarray} になります。デカルト座標の場合、基底ベクトルの微分は\(0\)(\(\dot{\bs{e}}_{x}=0\))なので、 \begin{eqnarray} \dot{\bs{x}}=\dot{x} \bs{e}_{x}+\dot{y} \bs{e}_{y}+\dot{z} \bs{e}_{z} \end{eqnarray} となって、これを成分表示すれば、(\ref{Cartesiandiff})式に一致します。

(レベル1)

デカルト成分表示の利点

デカルト座標の基底ベクトルの微分は\(0\) である。ゆえに、デカルト座標の場合、成分表示のまま ベクトルの微分を実行できる。

デカルト座標の場合、この記事でも書きましたが 基底の微分をきにする必要がないため、(\ref{Cartesiandiff})式 のように、成分表示のままベクトルの微分を実行できます。