一階線形微分方程式(同次)

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解の性質(レベル1)

一般解(レベル1)

一階線形微分方程式(同次)

以下の形の一階の微分方程式 \begin{equation} \label{diffeq} \frac{d x}{dt}(t)+P(t)x(t)=0 \end{equation} を一階線形同次微分方程式と呼ぶ。

最も簡単な形の微分方程式です。まずは微分方程式というものに慣れていきましょう。 「線形」や「同次」 の意味については微分方程式の基本事項の記事に説明があります。 この微分方程式について簡単にまとめました。

解の性質(レベル1)

解の性質その1

関数\(x(t)\)が微分方程式(\ref{diffeq}) の解である時、その定数倍(\(y(t)=C x(t)\))も(\ref{diffeq})式 の解。

これは代入すれば、簡単に解になっていることは確認できます。一見当然の性質のように 思えますが、この性質は同次でなければ成り立ちません。同次とは各項が未知変数\(x(t)\)とその導関数\(\dot{x}(t)\) に関して同じ一次であるという意味です。

解の性質その2

関数\(x(t)\)が微分方程式(\ref{diffeq}) の解である時、その線形結合(\(y(t)=C_{1} x_{1}(t)+C_{2} x_{2}(t)\))も(\ref{diffeq})式 の解。

線形結合とは、解を定数倍して足し合わせたもののことを言います。線形結合で作られた解を 解の重ね合わせと呼んだりもします。ただし以下に述べるように、今回の方程式では独立な解 が一つしかないので足し合わせる意味はあまりありません。

一般解(レベル1)

一般解

以下の一階線形同次微分方程式 \begin{equation} \frac{d x}{dt}(t)+P(t)x(t)=0 \tag{\ref{diffeq}} \end{equation} の一般解は \begin{equation} \label{gsolution} x(t)=C e^{-\int P(t)dt} \end{equation} (ただし、\(C\)は定数)で与えられる。

微分方程式には一般解というものが存在します。それは、(\ref{diffeq})式の 解は全て(\ref{gsolution})式の形で書けるという意味です。いまはとりあえず、一般的な 解とだけ押さえてもらえたらよいです。より詳しく知りたい人はこの記事参照。

証明

(\ref{diffeq})式を両辺\(x(t)\)でわって時間積分する。 \begin{equation} \int dt \frac{1}{x(t)}\frac{d x}{dt}(t)=-\int dt P(t) \end{equation} さて、ここで\(dt\frac{d x}{dt}=dx\)より、 \begin{equation} \log[x](t)=-\int P(t)dt+C' \end{equation} (ただし、\(C'\)は積分定数)であって、 \begin{equation} x(t)=e^{-\int P(t)dt+C } \end{equation} となる。

最後に\(e^{-\int P(t)dt+C}=e^{C}e^{-\int P(t)dt}\)と分解して、 \(e^{C'}=C\)と置けば、 \begin{equation} x(t)=C e^{-\int P(t)dt} \tag{\ref{gsolution}} \end{equation} が求まった。